2016年4月3日日曜日

バルチック海運指数から占う今後の世界経済

Global shipping industry takes a hit from China slowdown - March 31, 2016


輸出量の減少は世界的な景気後退を示唆し、輸入量の減少はその国の景気後退を示唆すると言われています。世界で流通する商品の約90%は"海"を経由して輸送されており、そのため海運業は最も敏感に景気の影響を受ける業界です。中国は世界第2位の経済大国ですが、2015年の国内総生産(GDP)は前年比+6.9%と25年振りの低成長となりました。今年に入ってからも輸出量・輸入量ともに減少が続いており、2桁成長を続けてきたこれまでとは様相が変化しています。

バルチック海運指数(The Baltic Dry Index=BDI)は、英国のバルチック海運取引所が算出・公表する指数で、鉄鉱石・石炭・穀物などの乾貨物(ドライカーゴ)を運搬する外航不定期船の運賃を収集し、1985年1月4日を1000として1日1回算出されています。国際的な海上運賃の指標となっており、世界経済や商品価格の先行指標となっていたす。また輸送運賃は海運会社の利益を直接左右するものですから、株価にも大きく影響します。

このBDIが2月に過去最低となる290(過去最高は2008年5月の11793)を付けました。現在はそこから少し回復していますが厳しい見通しは変わっていません。実際に世界最大の海運企業であるA.P. モラー・マースクは2015年第4だけで182百万ドルの損失を計上し、4000人もの雇用を削減しています。日本国内大手3社も16年3月期の業績予想も軒並み下方修正されました。


景気減速とともにBDIの下落圧力となっているのが、ばら積み船の供給過剰です。1回の輸送で多くの商品を輸送し利益を拡大させるため、過去数年に亘り海運企業では大型船の建造が進められてきました。現在ではマラッカマックス(1番浅い所で水深25mとなるマラッカ海峡を通過出来る船舶サイズ)と呼ばれるコンテナ積載量18,000TEUの超大型船も竣工しています。そして2013年後半からは転売益を狙った投機的な新造船の発注も増加しました。しかしこの戦略が逆風となっています。次々に竣工する大型船により競争が激化し更なる運賃相場の下落がもらたされ、運賃市況の悪化により国際港では多くの船が係船(港に係留し稼働出来ない状態にする事)されたままとなっています。

英国の海事調査機関であるDrewryは状況打開のため、「現在稼働している船舶の半数を退役させる」というような"劇的"な対策を提案しています。しかし今いかなる手段を取っても、その効果を実感するにはしばらく時間がかかりそうです。Drewryは、海運業の低迷は来年を通じて続くとの見通しを立てています。


http://money.cnn.com/2016/03/31/news/economy/china-shipping-slowdown/index.html

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