現在WTI原油先物は30ドル前後での取引となっております。ロンドン時間に入ってからは日経平均先物も100円以上上げており、東京時間とは空気が一変しリスクオンのムードが高まっています。
原油安が続く理由として、「OPEC加盟国がアメリカのシェール企業を振い落すために価格競争に持ち込んでいるから」と考えている方も多いでしょう。シェール企業は大きな打撃を受けておりそろそろ価格競争も終焉??と思われるかもしれませんが、実際にはそこに近付いてもいないのが実情です。確かに米国でのリグ(掘削機)稼働数は減少傾向となっています。しかしながら、米国の2015年10月の産油量は935万バレル/日で、原油安の影響にも関わらず2014年10月の913万バレルから増加となっています。12月も924万バレル程度と予想されており、ほとんど供給量に変化はありません。世界的な景気減速懸念により需要の増加が大きくは見込めない事から、供給量が増え続ければ更なる原油価格の低下が懸念されます。
なぜ米国での供給量が減らないかと言うと、いくつか理由があります。1つは技術革新によって掘削コストが減少している点です。2つ目がシェールブームにより稼働出来るリグが増えたため、最も効率の良いリグのみで生産する事が可能になった点です。これらは"オーストリッチ現象ostrich phenomenon"と呼ばれています。オーストリッチとはダチョウの皮の事で、「使い込むほど艶が出て味わいが増す」と言われています。つまり、米国のシェール企業は原油価格の低迷に対しても、技術革新やコスト削減で対応し、以前より高効率で筋肉質な体質へと変化しているのです。また、掘削を中止する方が高く付いてしまうので仕方なく生産を続けているケースもあるようです。
将来的には原油価格も需給が合致する点で安定すると思われますが、そこに至るまではまだしばらく時間がかかるかもしれません。
⇒http://money.cnn.com/2016/01/26/investing/us-oil-boom-not-dead/index.html?iid=hp-stack-dom
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